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悪魔のくすり11

血だらけのオスカルを見たル・ルーは、大慌てでオスカルの部屋に走った。
「こんなことで花の命を落とすなんて、なんてかわいそうなお姉ちゃま!」
涙ぐみながら走るル・ルーを優しげに、しかし毅然と後ろから捕える手があった。
「見つけたわ、ル・ルーちゃん」
ロザリーがニッコリと微笑んでいた。
「お部屋にいないから、探していたのよ。一緒に戻りましょうね。ル・ルーちゃんが眠るまでついててあげる。」
「ロザリーお姉ちゃま!」
ちょうどオスカルの部屋と、ル・ルーが寝泊まりしている客間の中間の廊下の角だった。
窓から月の光が、ロザリーの落ち着いた色合いの金髪を照らしていた。
・・・足音がしなかったわ。ロザリーお姉ちゃまってあなどれない・・・
悲しみにくれながらも、ル・ルーは心の中で思った。
「ロザリーお姉ちゃま・・・オスカルお姉ちゃまが・・・」
オスカルの信奉者であるロザリーに、血だらけのオスカルを見たことと、それが彼女の亡霊、つまり亡くなってしまったことをどう伝えたものか迷ったル・ルーに、ロザリーは安心させるようにうなずいた。
「オスカルさまなら、よく眠ってらっしゃるわ。今、アンドレが側についていてくれてるの。だから、安心。アンドレならオスカルさまを絶対守ってくれるもの。私はル・ルーちゃんが眠るまでお側にいますからね。・・・だめよ、もう出歩いたら。レディーはベッドにお入りなさいね。」
「・・・オスカルお姉ちゃま、ご無事に生きてらっしゃるの!?」
大きな声のル・ルーに、ロザリーは静かにするように口に人差し指を当てる。
「もちろんよ。じきに目を覚まされるわ。心配しなくて大丈夫ですからね。お部屋に戻ったら、何か温かい飲み物を運びましょうね。ぐっすり眠れるように。」
「・・・ぐっすりね・・・」
ル・ルーはとっさに思考を巡らす。
・・・私が庭で会ったオスカルお姉ちゃまは、幻じゃないわ。絶対、絶対何かあるのよ。てっきりお姉ちゃまがお亡くなりになったと思ったけど、それなら側についているアンドレが大騒ぎするはずだわ。この館の人間全員に聞こえるくらい嘆き悲しむはずよ。そうじゃないなら・・・
ル・ルーは館の中の静けさに耳を傾ける。なんの異変も感じられない。
・・・でも、全身血まみれで顔面蒼白のオスカルお姉ちゃまを見たなんて、ロザリーお姉ちゃまにはまだちょっと告げられないわ。なにせ、オスカルお姉ちゃま命なんだもの。どんなに心配することやら。アンドレもそれに輪をかけたようなものだけど、まだ使えるような感じがするわ。それに、私のアンドレを助けてって、言ってたし。だから、ここは一つ・・・
「じゃあ、ロザリーお姉ちゃまとご一緒にお茶を頂戴したいわ。ル・ルーが眠るまで側にいて下さる?」
ル・ルーは子供らしく、甘えたようにおねだりした。
「もちろんよ、ル・ルーちゃん。」
まさか、自分が眠らされることになるとは露とも思っていないロザリーは優しく微笑んだ。
二人は、ゆっくりオスカルの部屋から遠ざかっていった。
それから、間もなくのことだった。
誰もいなくなった廊下に、鍵の掛かる音がオスカルの部屋から響いたのは・・・

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Author:kakonokaori
「ベルサイユのばら」の二次創作です。個人的な楽しみで執筆しております。原作関係者の方々よりクレームを受けた際には、中止します。お目汚しではございますが、お好きな方はご訪問下さいませ。

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